中国のネットメディアが「いきなりノーベル賞を受賞した日本人サラリーマン、16年の沈黙を経て再度大発見!」という記事を掲載しました。この記事を見た中国人のコメントをご紹介します。

[記事](ちょっと長いですが、面白い記事なので全文引用します)
NHKスペシャル(NHK総合)では「平成史スクープドキュメント」というシリーズが昨年10月から放送されている。平成という時代を象徴する人物や事件を振り返る同シリーズでは、これまでに元メジャーリーガーの野茂英雄や歌手の安室奈美恵、あるいは山一證券の経営破綻や小選挙区制の導入などがとりあげられてきた。
昨夜(2月17日)放送の第5回では、「“ノーベル賞会社員”〜科学技術立国の苦闘〜」と題し、2002(平成14)年にノーベル化学賞を受賞した島津製作所のエンジニア田中耕一がとりあげられた。
番組では田中のノーベル賞受賞後の“苦闘”を追うとともに、基礎研究に対する国の運営交付金が年々減少し、民間企業でも研究所があいついで閉鎖されるなど、平成の30年間を通して日本の科学技術研究が厳しい状況に追いこまれていく過程を浮き彫りにした。平成時代に自然科学分野でノーベル賞を受賞した日本出身者は18人を数えるが、受賞対象となった業績の大半は昭和に成されたものであった。田中もまた、昭和の終わり、1985年の発見(論文発表は2年後)に対しノーベル賞が授与されている。
■ 偶然からたどり着いた発見がノーベル賞をもたらす
ノーベル化学賞の受賞対象となった田中の業績は、タンパク質にレーザーを当てて、丸のまま取り出す(イオン化する)技術の開発というものだ。今回の番組ではこの技術がCGを使ってわかりやすく解説されていた。
生命の基本となる物質であるタンパク質は複雑な分子構造から成り、分析のためそのままレーザーを当てると、分子がバラバラになって壊れてしまう。壊さずに取り出すには、レーザーに対し何らかの緩衝剤が必要だ。当時25歳だった田中は、緩衝剤となる物質を見つけるため実験を繰り返す。実験開始から半年後、田中は緩衝剤として試そうとした二つの物質に誤ってグリセリンを混ぜてしまった。彼は以前の実験で、グリセリン単体では効果がないことを確認していた。このときも期待できないと思ったものの、あえて実験してみる。果たして、グリセリンを混ぜた緩衝剤により、初めてタンパク質の分析に成功したのだった。
一つの偶然からたどり着いたこの発見が、17年後、田中にノーベル賞をもたらす。だが、番組中のインタビュー(聞き手はキャスターの国谷裕子)での発言によれば、くだんの発見当時「ノーベル賞に値することをやっていたとは、私自身思っていなかった」という。それだけに受賞が決まったときは戸惑いも大きかった。受賞後、一躍時の人となった彼はマスコミに追われ、すっかり疲弊してしまう。何とかメディアを遠ざけ、新たに掲げた目標は、タンパク質の分析技術を発展させ、「一滴の血液から病気を早期診断する技術」を開発するというものであった。
■ アルツハイマー病早期発見の糸口をつかむまで
島津製作所は「田中耕一記念質量分析研究所」を新設すると、田中を所長に据え、研究費として毎年1億円の資金を用意した。しかし5年経っても、思うような成果が生まれず、彼はプレッシャーを覚えるようになる。
そのさなか、田中に転機が訪れる。2009年、科学研究への競争的資金の拡充を掲げる国のプロジェクトで、田中の研究が名だたる研究者とともに選ばれたのだ。このプロジェクトでは、研究に対し5年の期限で、1年あたり7億円の資金が投じられ、田中にはさらなる重圧がのしかかることにもなった。彼は会社の外に活路を求め、国内外の研究機関に自ら足を運び、助言を求める。さらに若い研究者の声にも耳を傾けた。こうして新たにつくった人脈から、大学への研究を断念せざるをえなかった20名あまりの若者を雇用し、そこでがんや認知症にかかわりのあるさまざまなタンパク質の分析に挑んでいく。
このとき雇われた若手研究者の一人である金子直樹は、アルツハイマー病に関するアミロイドベータというタンパク質の研究を田中から命じられた。アルツハイマー病は、脳に蓄積されたアミロイドベータが神経細胞を傷つけることで発症するといわれる。金子は与えられた3年の任期中、血液中からアミロイドベータを抽出することに研究者生命をかけた。
とはいえ、血液中に含まれるタンパク質は1万種以上におよび、そのなかにごくわずかしかないアミロイドベータを取り出すのは不可能ともいわれた。金子はそれ可能とするため、50種類ほどの化学物質を幾通りにも組み合わせて特殊な溶液をつくり、アミロイドベータとの相性を試していく。その組み合わせは数万通りにものぼるという。気の遠くなりそうな作業の末、ついにアミロイドベータの抽出に成功する。だが、このとき、アミロイドベータとは別に未知のタンパク質も抽出されていた。
田中はこれについて医療の専門家に調査を求め、分析データを国立長寿医療研究センターに持ち込む。その結果、この未知のタンパク質こそアルツハイマー病の早期発見の鍵を握る物質であることがあきらかになった。
健常者の場合、血液中のアミロイドベータは未知のタンパク質より多く含まれる。これに対し、脳に異変のある人の血液では、アミロイドベータが未知のタンパク質より少なくなっていた。つまり血液中の未知のタンパク質がアミロイドベータより多くなったとき、アルツハイマー病が発症するリスクが高くなることが判明したのだ。この発見により、症状が現れる30年前にその兆候を診断できる可能性さえ出てきたという。
昨年2月、イギリスの科学雑誌『ネイチャー』でこの研究成果が発表されると大きな反響を呼び、田中は再び世界的に注目される。この成果もまた、ノーベル賞を受賞した業績と同様、偶然の発見がもたらしたものであった。しかし田中は「偶然も強い意志がもたらす必然である」との信念を抱く。
■ 日本人はイノベーションを狭くとらえすぎる?
今回の番組の終わがけ、田中耕一は、イノベーションという言葉が日本では技術革新と訳され、あまりにも狭い意味でしかとらえられていないと指摘した。彼に言わせると、イノベーションとは本来、色々な分野の人が集まって、新しい結合、新しい解釈をすることだという。ゆえに「あるときは失敗と思われることも、別の分野ではすごい発見になるかもしれない。もう少し柔軟に、広く解釈すれば、イノベーションはもっとたやすくできる」と。
研究者としての田中の足跡は、まさに広い意味でのイノベーションの実践そのものであった。彼は以前から、研究者には、自分の専門や所属する団体を越えてつながっていくことが大事だと説いてきた。10年ほど前の雑誌のインタビューでは、こんなふうに語っている。
《日本の研究者は自分の研究を俯瞰して横につなげる、あるいは他分野を理解し、相手に理解してもらうよう対話していく能力が不足している。ただそれは、訓練が足りないだけだと思うんです。(中略)特定の分野を深掘りするだけではどうしても掘り進める断面が狭くなる。関心を広げて横の研究とつなげれば、断面積が広がり、思わぬ新しい視点が獲得できる可能性があります。その異分野融合でも自分の研究を俯瞰することが必要です》(『日経ビジネス』2008年4月7日号)
島津製作所では、横の連携をつくっていくため、各部署が研究内容を披露しあう発表会を年に1回開いているという。会社の外とのつながりでいえば、田中のノーベル賞受賞につながった英語による論文は、このころ質量分析の分野において世界有数の研究拠点であった大阪大学の教授に強く勧められて執筆したものだった。アルツハイマー病に関する画期的な発見も、国立長寿医療研究センターとの連携なしにはありえなかっただろう。
今回の番組では、田中がノーベル賞受賞後、ほとんどマスコミには登場せず、沈黙を保ってきたことが強調されていた。しかし彼は世の中に対し完全に沈黙していたわけではない。自身の研究について一般にも知ってもらうべく、ときにはビジネス誌などの取材にも応じてきた。作家の瀬名秀明との対談では、《受賞をきっかけに、自分のことを説明する立場になりました》と話している(『週刊東洋経済』2004年9月18日号)
同じ対談で田中はこんな話も明かしていた。それはノーベル賞を受賞する年、2002年に出向先のイギリスから帰国したときのこと。街を歩く人が皆うつむいていることにカルチャーショックを受けたという。彼はそこに日本人の自信のなさを感じた。
《私は周りの人に褒めてもらって自信を持つことができ、自分にも何かできそうだと思えた。他の人にも持っているポテンシャルに気づいてほしいと考えています。何かきっかけになるものがあるといいのですが》(前掲)
自信のなさは、人々の相互理解の不足もあるはずだ。田中が重視する「他分野を理解し、相手に理解してもらうよう対話していく能力」は、研究者にかぎらず、私たちにも必要なのではないだろうか。
記事引用元: https://news.nicovideo.jp/watch/nw4851000
コメント引用元: https://comment.tie.163.com/E8QAJRE005188DJM.html
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※ 下記コメントで言及されている事柄の事実確認は行っておりません。真偽の判断はみなさまでお願いします
■ 山東さん
この国が強大にならないわけがない [1666 Good]
■ 在日中国さん
偶然で成功してしまうと、その次に成功するのはとても難しいんだな [1062 Good]
■ 黒龍江さん
そう考えてしまう人は成功ではなく偶然で終わってしまう [46 Good]
■ 甘粛さん
誠実、謙遜 [969 Good]
■ 山東さん
尊敬に値する [601 Good]
■ 広西さん
もう日中関係を挑発するのはやめよう。歴史は歴史で仕方がないが、未来は我々が新しく作ることができる。こういう素晴らしい科学者から我々は多くを学ぶべき [275 Good]
■ 河北さん
中国人は基本的な生活を送るために日々一生懸命。衣食住を確保するだけでも大変で、その上子供を育て、病気になったら医療費も工面しなければいけない。日本ではそのあたりは高給と政府の福祉政策のおかげで心配する必要がないから、日本ではより研究に打ち込むことができる [406 Good]
■ 広州さん
これが日本の研究者。中国は絶対に勝てない [161 Good]
■ 河南さん
中国にもこういう人材がいるはず。こういう人材を表舞台に出さずに便所掃除をさせているのが中国の問題 [140 Good]
■ 四川さん
便所掃除、いいじゃないか。あの時代を生き延びただけで大満足 [19 Good]
■ 広東さん
すごい [131 Good]
■ 河北さん
中国の研究者や教授はみんな金策に頭を使いすぎ [42 Good]
■ 山東さん
なんで日本はこうなって、中国はこうなったの? [25 Good]
■ 江蘇さん
みんな!国の恥を忘れるな!! [18 Good]
■ 広東さん
おれも研究室でこんなことをしていた。でも無理だった [20 Good]
■ 北京さん
「コツコツと現実に」はとても簡単だけどものすごく難しい [19 Good]
■ 山東さん
どこの国にだって天才はいる。その天才をどう活かすかは国次第ということだな
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